細胞の中にはとても多くの種類の分子があります。免疫反応でも、たくさんの分子が細胞の中で動き回り免疫として働いています。それぞれの分子の動きが分かれば、免疫をはじめとする生物の複雑な働きが分かります。

分子を区別する分光と呼ばれる手法のひとつに私たちが用いる「顕微ラマン分光法」があります。光は分子にあたると散乱されますが、このとき少しだけ波長が長い光になります。その波長の変化は光があたった分子の種類で決まります。ラマン分光はこの波長の変化からどんな分子があるかを知るために化学では良く知られた方法でした。これをさらに発展させ、分子の分布を画像化できるようにしたのが顕微ラマン分光法です。

波長の変化は「色」が変化するということです。つまり顕微ラマン分光法で得られる画像では、たくさんの種類の分子があっても、同じ種類の分子は同じ「色」で見えるのです。細胞の画像をとれば、同じ「色」をもった同じ種類の分子が細胞の中のどこに多く存在しているか観察することができます。それだけではありません。分子と分子が化学反応をして別の分子になれば、また違う「色」として観察できるでしょう。免疫反応を観察すれば、病原体がやってきたときに、近づいていく分子たち、逃げていく分子たち、知らんぷりをする分子たち、それがきっかけで化学反応などの変化を起こし始める分子たち、それらを観察できるでしょう。このようなたくさんの分子を観察しようとすると、ひとつひとつの分子に目印を付けて追跡することはできません。それぞれの分子の性質を利用するために目印をつけることなく観察することができる、この顕微ラマン分光法が大きな力を発揮するでしょう。

ラマン分光法この研究テーマは、分析化学の研究者であるわたしたちにとって最先端のイメージング技術である顕微ラマン分光法をもちいて、免疫学の専門家たちに囲まれながら、免疫細胞を相手に免疫学に取り組むという、挑戦なのです。

2010/08/05 15:18

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Nicholas Issac SMITHNicholas Isaac SMITH