単球とよばれる血液中の未成熟な免疫細胞は、必要とされる場所にたどり着くと、もともとは同じ細胞であるのに、場所に応じてふさわしい機能をもった異なった細胞に成長し、成熟した免疫細胞として働きます。骨表面では骨を破壊する破骨細胞に、皮膚などに到達するとマクロファージや樹状細胞といった細胞に成長します。未成熟な免疫細胞は、どのようにしてそこへ到達し、どのようなタイミングで成熟するのでしょうか。また、どのようにして自分がどの細胞に成長すべきなのかを知るのでしょうか。

わたしたちは、このような細胞に目印となる蛍光プローブをつけ、その目印がどのように動いているかを、体の内部まで観察できる「二光子顕微鏡」をもちいて観察し、生きた動物の体内で様々な細胞がどのように動いているのか調べています。わたしたちはこの「生体イメージング」技術を使って、骨組織を壊すことなく、生きた動物の体の内部を観察することに成功しました。そして、未成熟な免疫細胞を骨組織まで呼び込み、それが骨を破壊する役割をもつ破骨細胞に成熟する指令を与えている物質を突き止めました。つまり、単球はこのような分子を認識することで自分が目的地に辿りついたことを知り、多くの可能性の中から破骨細胞へと成熟することができるのです。過剰な免疫反応の結果としてできてしまう過剰の破骨細胞が関節の骨を破壊してしまうのが、関節リウマチの原因のひとつと考えられています。もしこの破骨細胞の動きをコントロールすることができれば、多くの人が悩むこの病気の新しい治療法に結びつくかもしれません。

わたしたちは、「生体イメージング」という新しい技術を使って、免疫細胞の動きを追跡し、いつ、どこで、どのようにして免疫反応が起きているのかを調べています。わたしたちはこのような研究を通じて、新しい薬や治療法を開発し、免疫に係る病気に苦しむ多くの人々を救いたいと願っています。

2010/08/05 15:19

サブテーマ2 リーダー
石井 優石井 優 / Masaru Ishii