免疫とは細菌やウィルスなどの病原体の攻撃からわたしたちの体を守るしくみです。免疫のしくみを調べることで、免疫力を高め、病気を防ぐ方法を見つけることができます。さらに、多くの人が苦しむ花粉症などのアレルギーや関節リウマチなどの免疫の異常な反応による病気や、多くの人の命を奪うがんなどの病気を治せるようになると期待されています。

免疫は大きく自然免疫と獲得免疫に分けることができます。はしかなどのように一度経験したら再びかからない病気があります。このように、病原体を記憶し次にその病原体がやってきたときには素早く対応し病気になるのを防ぐのは獲得免疫の働きです。一方、自然免疫は、マクロファージと呼ばれる細胞などが、侵入してきた病原体を取り込んで消化するだけと長い間考えられてきました。獲得免疫とは全く別物とされてきたのです。しかし、マクロファージにはいくつかの種類のToll-like receptor(TLR)という病原体のセンサーがあり、病原体のいろいろな特徴や成分を認識していることが、わたしたちの研究によってわかりました。さらに、認識した病原体の情報を細胞内へ、あるいは他の細胞へと伝えてもいるのです。しかも、自然免疫は獲得免疫への橋渡しとして重要な役割を果たしていることもわかってきました。インフルエンザなどの病気を予防するワクチンは獲得免疫を働かせるために利用されます。しかし、マウスによる実験では、ワクチンを純粋にして獲得免疫に関わっている成分だけにすると、効きめがないことがわかりました。つまりTLRが認識するはずの病原体の成分が入っていないワクチンでは、自然免疫を働かせることができず、獲得免疫も働かないのです。実は、このように自然免疫と獲得免疫はとても密接な関係にあったのです。

自然免疫と獲得免疫

わたしたちはこのような自然免疫から獲得免疫まで、免疫という働き全体の中で多くの分子や細胞がどのように繋がり働いているのかを調べています。そのためにはイメージングやコンピュータによる予想など、分野の異なる専門家たちの協力がとても重要なのです。

2010/08/05 15:18

サブテーマ1 リーダー(中心研究者)
審良 静男 / Shizuo AKIRA
研究分担者
竹内 理 / Osamu TAKEUCHI
河合 太郎 / Taro KAWAI
植松 智 / Satoshi UEMATSU
斎藤 達哉齊藤 達哉 / Tatsuya SAITOH
熊谷 雄太郎熊谷 雄太郎 / Yutaro KUMAGAI
鈴木 一博鈴木 一博 / Kazuhiro SUZUKI