③ 外国語書面出願制度 (1の詳細③)

特許法第36条の2には、外国語(英語のみ)の明細書、特許請求の範囲、必要な図面及び要約書を英語で記載したものを願書に添付することができるという規定があります。

これは、本来は、外国人がパリ条約の優先権を主張して、外国での出願から1年以内に日本に出願する時に、従来は日本語に翻訳したものでなければ受理しなかったのですが、実務上、優先権の主張ができる1年目ギリギリに出願せざるを得ないこともあり、適切な発明の保護をするために、翻訳に2か月の猶予期間を認めようとしたものです。

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審良プロジェクトのような世界としのぎを削っている研究成果の発表は、例え日本人研究者でも基本的に最初から英語で投稿用論文の草稿をします。

一方、特許事務所においては、専門性の高い研究分野の翻訳は容易ではないと考えられます。かといって特許出願のために研究者に、わざわざ日本語に翻訳したものを用意してもらうことも本末転倒のように思えます。

英語で論文を草稿する研究者の研究成果をこの特許法第36条の2の規定により出願すると、請求項と産業上の利用可能性だけは、論文からそのままの形では利用できませんが、論文の多くの部分を利用して、ほとんどコピー&ペーストで明細書を作ることができます。

そしてさらに1年以内に国際出願をすれば、日本語に翻訳しなければいけない期限は、最初の出願から30か月まで引き延ばすことができます。この間に、発明者が日本人研究者であれば、空いている時間に少しづつ日本語に翻訳することができますし、外国人研究者の場合には、30か月近くになると、この出願が有用かどうかの判断ができ、維持する意味のなさそうな特許出願については、高い翻訳費用の支払いの無駄を解消することもできます。

英語書面出願に限りませんが、出願から30か月経過しているものは、発明の内容が公開されてから1年半経過しています。特許出願の価値判断は、難しいところがありますが、この段階でどこの企業とも共同開発等の進展がないものは、この後いくら維持をしても知財活用されることは非常に稀だと思います。大学が個人の発明者に特許権を返してもよいと思われます(大学継承⇒個人帰属)。

〔文責:知財戦略コーディネーター 前田裕司〕

この記事に関して、質問やコメント等がございましたら、前田知財戦略コーディネーター(akira-ipsc@ml.office.osaka-u.ac.jp)までお寄せください。

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