① 大学の社会貢献 (1の詳細①)

(改正教育基本法)

平成18年に教育基本法が改正されました。

第83条に、「大学は、学術の中心として、広く知識を授けるとともに、深く専門の学芸を教授研究し、知的、道徳的及び応用的能力を展開させることを目的とする。」と旧法第52条と同じ規定が残されました。そして第83条2項に「大学は、その目的を実現するための教育研究を行い、その成果を広く社会に提供することにより、社会の発展に寄与するものとする。」と、大学の目的として従来の教育、研究に加えて「社会貢献」が追加されました。大学の研究成果について社会貢献とはどのようなことを指すのでしょうか?

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一つには製品化に繋げる企業との共同研究開発を進めるということが考えられます。

企業が製品開発をするには多大なお金、時間、人を投資するので、その研究開発成果を他人が簡単に真似をすることができれば、企業は危険を冒して研究開発をしません。例えば医薬品の研究開発は、以下の図のように非常に長い期間がかかります。研究費も数百億円かかるといわれています。したがって、その研究開発投資を守るために特許出願は必須です。

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医薬品は他の産業より研究開発費が多く、製品化までの研究開発期間も長いですが、他の産業も、ある程度の研究開発費を費やしています。

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したがって、何らかの形で研究成果を製品化して社会貢献に寄与したいとお考えの方は特許出願をする必要があります。

そして特許出願をする場合には、論文化よりも早くする必要があります。もし論文が公知になれば同じ内容の特許は新規性が無いということで特許は拒絶されます。日本の特許法では新規性喪失の例外規定があります(特許法第30条)。米国も同様の制度がありますが、欧州ではそのような制度が無いので、欧州では特許になりません。世界市場を狙う(医薬品、自動車等)企業は、新規性喪失の例外規定を適用した出願は世界制覇ができないということで、通常、関心を持ちません。したがって論文を投稿して、学会誌に掲載(または学会等のWebに公開)される前までに特許出願をしておくことが重要です。特許出願の方式審査もありますので、特許出願した後に、論文投稿することが無難かと考えられます。

〔文責:知財戦略コーディネーター 前田裕司〕

この記事に関して、質問やコメント等がございましたら、前田知財戦略コーディネーター(akira-ipsc@ml.office.osaka-u.ac.jp)までお寄せください。

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