〔特許がとれた後〕
 18.特許権の効力及びその制限

 特許発明の実施については、「4.発明(種類、単一性、保護対象にならない発明)」で述べているように、「物の発明」についてはその物の生産、使用、譲渡等(譲渡及び貸し渡しをいい、その物がプログラム等であれば電気通信回線を通じた提供も含む。)、輸出、若しくは輸入又は譲渡等の申し出(譲渡等のための展示も含む。)をする行為と定義されています。同様に「方法の発明」については、その方法を使用する行為、「物を生産する方法の発明」にあってはその方法を使用する行為の他、その方法により生産した物の使用、譲渡等、輸出若しくは輸入又はその譲渡等の申し出をする行為が実施に当たります。そのため、特許権者の許諾なく他人の特許発明を実施すると「侵害」になります。方法の発明は、民間企業の施設内で行われた場合には、なかなか立証は難しく、施設内に無断で入るなど違法な行為で証拠を掴んだとしても、裁判では「侵害」の証拠に利用できません。
 したがって、できる限り「物の発明」「生産方法の発明」にすることが重要です。要は立証できるか否かです。物の発明でも最終製品ではなく中間物の発明や、生産方法の発明についても、その中間物や反応を利用したか否かについては、侵害の立証が難しいと思われます。そのような場合には、例えば、最終製品の微量な副産物や用いたかもしれない触媒の微量金属が含まれていること等を証明するなど、中間物の発明や生産方法の発明を利用した確度が高い場合は、それらを提示して、被告側に立証責任を負わすことは不可能ではないと思います。
 通常は、上記のような他人の特許発明を許諾なく使用する侵害行為は許されないのですが、例外として特許法第69条に効力が及ばない範囲について規定されており、試験又は研究のためにする特許発明の実施には及びません。その他医師等の調剤行為等にも及びません。なお、リサーチツールの特許については10の詳細①をご参照ください。

〔文責:知財戦略コーディネーター 前田裕司〕

 

この記事に関して、質問やコメント等がございましたら、前田知財戦略コーディネーター(akira-ipsc@ml.office.osaka-u.ac.jp)までお寄せください。

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