① リサーチツール特許(10の詳細①)

 財団法人知的財産研究所発行の「知財研紀要2004」pp.58-62「知的財産の円滑な利用に係る諸問題に関する調査研究ip_10_sub1_fig1.png―「試験又は研究」の例外等について―」によると、リサーチツールとは、科学者が実験室でツールとして使用するあらゆる資源のことをいい、それ自体は手段の一部であり、最終製品にはなりません。リサーチツール特許の中で特に問題となるのは、上流技術と呼ばれる汎用性が高く代替性の低い基本技術に関する特許権であります。
 非常に強く広範な権利となり、後続又は下流領域の研究開発に大きな影響を及ぼすことになります。また、ライフサイエンス分野において問題が起こっているリサーチツール特許として、遺伝子の特許及びその関連特許があり、特定の疾患に関与する遺伝子及びその発現タンパク質は当該疾患の遺伝子診断法と治療薬のスクリーニング法の両方を特許で押さえることになります(上図)。すなわち、リサーチツール特許は、汎用性が高く代替性が低いため、ライフサイエンス分野全体に影響を及ぼす上流技術に関する特許と、特定の狭い範囲ですが、最終製品(例えば、特定疾患に対する医薬品)に直結する特許とに大きく分けられます。例えば、ゲノム創薬においては、あらゆる研究段階で様々なリサーチツール特許が関与します。
 また、平成19年3月に総合科学技術会議がまとめた「ライフサイエンス分野におけるリサーチツール特許の使用の円滑化に関する指針」では、「リサーチツール特許を所有又は使用する大学等や民間企業は、そのライセンスの授受にあたり、以下の基本的な考え方に基づき対応するものとする。ただし、リサーチツール特許のうち、商品化され市場において一般に提供されている物又は方法については、この限りでない。なお、リサーチツールに関する特許出願中の発明についても、本指針に準じた取扱いとする。」と明記されています。
 さらに、「リサーチツール特許の権利者は、他者から研究段階において特許を使用するための許諾を求められた場合、事業戦略上の支障がある場合を除き、その求めに応じて非排他的なライセンスを供与するなど、円滑な使用に配慮するものとする。」とされており、大学のような研究のための機関は、基本的にはライセンスを受けることができると考えて良いと思います。

〔文責:知財戦略コーディネーター 前田裕司〕

 

この記事に関して、質問やコメント等がございましたら、前田知財戦略コーディネーター(akira-ipsc@ml.office.osaka-u.ac.jp)までお寄せください。

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