10. 大学研究でも先行技術調査はしたほうが良い!

 企業では、通常、研究開発を始める前に障害になる可能性のある特許が存在するか否か、先行特許技術調査を行います(3の詳細①)。特許が登録されると法律で保護された権利になりますので、それを侵害すると刑法の窃盗罪と同じく10年以下の懲役又は1,000万円以下の罰金が科せられます。これは従業員のみではなく、法人に対しても罰金刑が科せられます(特許法第201条、両罰規定)。
 特許法第69条に、試験及び研究のためにする特許発明の実施には特許権の効力が及ばないと規定されていますので、基本的には大学での研究行為は及ばないのですが、リサーチツールに関する特許については許諾が必要です(10の詳細①)。また3の詳細①でもお話しましたが、大学が侵害していると訴えられた例もあります。
ip_10_fig1.png もし万が一、同じ研究内容(発明)の見知らぬ特許権者が存在すれば、いくら研究をしても特許化できないだけではなく、研究成果を発表すればするほど、その有用性を共同研究費等なしで広報してもらえるので、特許権者にとっては、うれしい限りだと推測されます(左図)。研究者にしても、国費等の研究費により特定の個人にしか有益にならない研究をした場合には、時間、労力等の無駄になります。したがって、大学の研究でも(少なくとも出願前に)、できれば着想段階、研究テーマ決定段階で企業ほど綿密な調査をする必要はありませんが、先行特許調査は、したほうが良いと思います(下図)。そうすることにより自分では考えていなかった用途を知ることができる場合もあります。また分野によっては、企業研究者は論文を書かずに特許出願のみ行うことが多く、文献調査では得られない情報も得られます。
ip_10_fig2.png 具体的には特許電子図書館、米国特許商標庁ホームページのpatent search や、欧州特許庁ホームページよりEspacenet等を利用して無料で簡単にできます。大阪大学ではトムソンロイターのデータベースでも無料で行うことができます。(10の詳細②

〔文責:知財戦略コーディネーター 前田裕司〕

 

この記事に関して、質問やコメント等がございましたら、前田知財戦略コーディネーター(akira-ipsc@ml.office.osaka-u.ac.jp)までお寄せください。

| トラックバック(0)

メモ

PDF ファイルの閲覧には、Adobe READER が必要です。以下のバナーをクリックすると、リンク先のページから無償で入手できます。

Adobe reader