8. 共同出願

 本来は、発明者が特許を受ける権利を持っているのですが、通常、職務上の発明であれば、所属する組織にその権利を譲渡して、その組織が出願します。大学では企業との共同研究などがよく行われており、共同出願に至るケースは多いと考えられます。共同出願の場合は、異なる組織と特許を受ける権利、又は特許権を共有することになります。特許権を共有した場合に、特許発明については持ち分に関係なく、それぞれ独自に他の共有者の同意を得ないで実施することができます。しかしながら実施権の設定には他の共有者の同意を得なければ実施権を第三者に許諾することはできません。大学と企業の共同出願の場合、企業は実施能力があるでしょうから自由に実施できますが、大学では生産や営業行為ができるわけはないので、実施しようとすると第三者に実施許諾するしか、研究開発・知財投資を回収することができません。10年ほど前に新しい大学知財制度が創設されたときに、大学側は企業に対して「不実施補償(大学側は営業行為ができないため、企業が実施した時に、実施料相当額を大学に補償するというものです。)」を要求しました。大学側の言い分が分からないわけではないのですが、企業側から猛反対を浴びてしまいました。出願時の契約にその補償をしてもらうようにしておかなければ、大学は、折角発明に関与しても、経済的な見返りがないことになりますので、最近では、不実施補償という言葉を使わないで、企業が実施した時に大学にお金が還元されるような契約書を作っているようです。企業では研究開発の意義をそれほど理解しない部署の合意も得なければならないので、その部署にも納得できるような表現が必要になります。だからといって大学が、特許が無かったほうが良いと思っても単独では放棄できないので共同出願するときには注意が必要です(8の詳細①)。

〔文責:知財戦略コーディネーター 前田裕司〕

この記事に関して、質問やコメント等がございましたら、前田知財戦略コーディネーター(akira-ipsc@ml.office.osaka-u.ac.jp)までお寄せください。

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