3. 知財は活用しなければ意味がない-大学知財と企業知財の違い-

 企業は、世の中に新しい製品を出し続けなければ、生存できません(オープンイノベーションの著者のH.Chesbroughは、その序で"Most innovations fail. And companies that don't innovate die."と述べています。その通りだと思います)。そのためには、企業は多大な研究開発投資(お金、労力、時間等)をします。長い時間をかけて、新製品を開発した時に、他人が簡単に模倣できるのであれば、多大な研究開発投資を回収することはできません。その投資費用を回収可能にするのが、独占権を有している知的財産権であり、研究開発の経過に伴って、製品が各種の知的財産権で保護できるように、いろいろと目的に応じた知財出願をします(3の詳細①)。

ip_03_fig1.png  左の図は、私が在籍していた企業の有価証券報告書の営業利益等の経時的データと特許権の有効期限とを重ね合わせたものです。通常、企業全体の利益と特定の製品の利益と連動することは珍しいのですが、この製品の利益の企業への貢献度が相当高かったためと思われます。このように企業は独占的に自己実施するために特許が必要なわけです。
 しかしながら大学は教育、研究、社会貢献を目的としており、営業活動ができないため、知財出願をしても、どこかの企業に使ってもらうしかありませんので、知財活用を積極的に図る必要があります。そのためにも大学研究者の研究成果を知財化するときには、アウトプットのイメージを、ある程度描けることが必要です。材料研究のように社会で解決すべき課題が研究テーマになることはよくあることかと思いますが、審良プロジェクトのように既知の生体内分子であれ、新規生体内分子であれ、新しい機能が発見できたとしても、それが検査、診断、治療に結びつくまでは長い道のりが必要です(3の詳細②)。

〔文責:知財戦略コーディネーター 前田裕司〕


この記事に関して、質問やコメント等がございましたら、前田知財戦略コーディネーター(akira-ipsc@ml.office.osaka-u.ac.jp)までお寄せください。

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