自然免疫から獲得免疫までの動的機構を、イメージング技術やシステムバイオロジーを
用いて包括的、統合的に理解します。

akira shizuo花粉症などのアレルギー性疾患は日本人の3人に1人、難病とされる関節リウマチ、膠原病などの自己免疫疾患には国民の200 人に1人が苦しんでいます。これらの免疫異常・破綻による病気の医療費は年間1兆円以上と推算され、国民総医療費の3%以上を占めています。また、世界では年間1500万人もの命が感染症で失われ、さらに、新型インフルエンザ、HIV(免疫不全を引き起こすウイルス)、SARS(21世紀になって香港などで流行している致死率の高い肺炎を起こすウイルス)などに代表される新興感染症などの脅威も後を絶ちません。

 

これらの健康・安全な社会を脅かす病気を予防し、克服するためには、免疫を真に理解しこれを制御することが免疫学研究の重要な課題となっています。私たちのテーマである「免疫ダイナミズムの統合的理解」を目指した研究は、我が国が目指す健康・安全・安心社会を実現していくために必要不可欠であり、真の免疫機構の理解に基づいた世界に先駆けた免疫先端医薬品の開発は、産業の国際競争力の強化、さらには「健康技術立国」としてのわが国の国際地位の向上にも繋がると期待されています。

 

私たちのプロジェクトでは、自然免疫、獲得免疫を制御する方法論を組み合わせることにより、自己免疫疾患、アレルギー疾患、感染症、癌ワクチン開発を推進するための、免疫医薬、ワクチンなどの応用的な研究も行います。更に、免疫制御分子の構造生物学的アプローチ、さらにはそれらを基盤とした画期的な免疫操作技術、臨床診断法、創薬スクリーニング法の開発を目指しています。

審良 静男 プロフィール

1953年1月27日生まれ、大阪府東大阪市出身。大阪府立高津高等学校、大阪大学医学部に学ぶ。1984年大阪大学大学院医学研究科の博士課程を修了後、日本学術振興会奨励研究員、カリフォルニア大学バークレー校博士研究員を経て、1987年大阪大学細胞工学センター 免疫研究部門の助手となりました。

その後、兵庫医科大学生化学教授などを経て、1999年に大阪大学微生物病研究所教授に就任しました。現在は、 大阪大学免疫学フロンティア研究センター の拠点長も務めています。

自然免疫と獲得免疫の関係について従来の見方を覆す研究を成し遂げ、これによって免疫学そのものを進展させる新たな土台を築き、世界的にも著名な研究者となりました。

Shizuo AKIRA の論文は今日までに多くの研究者から引用されており、米トムソンサイエンティフィックの「世界で最も注目された研究者ランキング」で、2004年度に第8位、2005年度と2006年度に第1位、2007年度には第4位にランクインしています。