助成金使途 / 平成24年度

平成24年度における研究の実施状況

平成24年度は、中心研究者が自然免疫細胞において発見した炎症性サイトカインのmRNAの分解酵素であるRegnase-1に関する研究が大きく進展した。mRNA安定性制御機構が獲得免疫系のT細胞においても存在することが明らかとなり、さらにRegnase-1の新しい標的RNAがT細胞で同定され、作用部位には自然免疫細胞と同様、Stem-loopという特徴的な構造を持つことが判明した。これらの研究では免疫グループに加え、ラマンイメージング、構造生物学、システムバイオロジーなどの融合研究によるサブテーマ1、4、5および6の連携が成果を生む原動力となった。

また、免疫の統合的な理解に繋がる研究も進展した。免疫のみならず、脂肪代謝に重要な役割を持っているマクロファージとそれに関わる遺伝子の発見、痛風の原因となるインフラマソーム形成機構の解明、並びに合成dsRNAによる樹状細胞活性化機構の解明は、Natureを始めとする国際的にもインパクトファクターの高い学術雑誌に発表され、メディアでも紹介されるなど大いに注目された。多光子励起顕微鏡を用いて、世界で初めて活性化破骨細胞をイメージングしたサブテーマ2の研究は、骨粗鬆症治療への道を開くものとして多くのメディアに紹介された。さらに、サブテーマ3では生体内の免疫細胞のダイナミズムを観察するためのツールとしてMRIイメージングを用い、多発性硬化症モデルマウスにおいて脳内に浸潤する免疫細胞の可視化に成功した。またMRIイメージングのためのプローブ作成も進展した。

以上のように平成24年度は、サブテーマ間の連携による自然免疫応答制御機構等の解明も進展し、特に免疫分野では、脂肪代謝に関与する免疫細胞など今までの免疫学の常識を覆すような重要な研究成果が得られた。

これらの成果は、自己免疫疾患、メタボリックシンドローム、痛風、骨粗鬆症などの治療法開発にも繋がることが期待される。




平成24年度における収支状況の概要

(単位:円)

助成金の受領状況(累計) 合計 経費A 経費B 経費C
①交付決定額 2,520,000,000 2,100,000,000 274,000,000 146,000,000
②既受領額(前年度迄の累計) 1,588,400,000 1,370,000,000 143,400,000 75,000,000
③当該年度受領額 393,400,000 293,000,000 65,400,000 35,000,000
④(=①-②-③)未受領額(累計) 538,200,000 437,000,000 65,200,000 36,000,000
⑤既返納額(前年度迄の累計) 0 0 0 0

(単位:円)

当該年度の収支状況 合計 物品費 旅費 謝金・人件費等 その他
経費A ①収入 364,547,913 163,845,074 12,122,573 142,094,219 46,486,047
②執行額 348,637,455 188,028,220 7,894,428 105,934,079 46,780,728
③(=①-②)未執行額 15,910,458 -24,183,146 4,228,145 36,160,140 -294,681
経費B ①収入 91,417,381 3,531,279 3,958,500 72,688,069 11,239,533
②執行額 67,583,590 922,751 2,172,880 59,680,259 4,807,700
③(=①-②)未執行額 23,833,791 2,608,528 1,785,620 13,007,810 6,431,833
経費C ①収入 69,732,094
②執行額 25,741,415
③(=①-②)未執行額 43,990,679
総収入(経費A+B+Cの①の合計) 525,697,388
総執行額(経費A+B+Cの②の合計) 441,962,460
総未執行額(経費A+B+Cの③の合計) 83,734,928

(単位:円)

当該年度返納額 合計 物品費 旅費 謝金・人件費等 その他
経費Aにおける返納額 0 0 0 0 0
経費Bにおける返納額 0 0 0 0 0
経費Cにおける返納額 0
総返納額 0

  • ※収入=前年度迄の未執行額+当該年度受領額+当該年度受取利息
  • ※当該年度返納額:前年度の執行状況確認通知書に基づき、振興会へ返納した金額
  • ※経費A:研究開発事業経費、経費B:研究開発支援システム改革経費、経費C:研究環境改善等経費


平成23年度

平成23年度における研究の実施状況

本年度は、全てのサブテーマにおいて研究の順調な進捗が見られた。

免疫グループ(サブテーマ1)は自然免疫細胞において、未知のリガンド認識に関わると考えられる新規シグナル伝達分子を発見した。また、中心研究者が発見したIL-6 mRNAの分解酵素であるZc3h12a(Regnase-1)の新たな調節機構について研究が進んだ。樹状細胞を用いた免疫制御法の開発を目的として、腸管粘膜固有層において、新しい樹状細胞を同定し網羅的に解析することができた。

サブテーマ間の融合研究も進展した。免疫グループはシステムバイオロジーグループ(サブテーマ6)と共に自然免疫応答時における遺伝子発現変化経時データを取得し、重要な転写因子と共存する新規の転写因子を多数同定した。化学プローブグループ(サブテーマ3)とイメージンググループ(サブテーマ2)は共同で、新規に作成したin vivoでの機能を可視化する蛍光プローブを活用して、生きた骨組織細胞の詳細かつ実体的な解析を行った。免疫グループが発見したRegnase-1については、構造生物学グループ(サブテーマ5)が詳細な3次元構造と機能の相関研究で成果を挙げている。

また、免疫応答のイメージングのためにIFN産生をモニタリングできる遺伝子改変マウスの作製や生体イメージングに使用可能なRegnase-1の遺伝子改変マウス(Mx-Cre x regnase-1 f/f マウス)の作製も進んでいる。

本プロジェクトで購入した大型機器による研究成果も現れている。例えば、次世代シークエンサーを用いて、RNA-seq, TSS-seqによる遺伝子発現パターンデータの取得と解析が進んだ。超高解像度顕微鏡を用いて、HIV-1に対する感染防御において果たす好中球の役割についても解析することができた。また、ラマン顕微鏡による非侵襲での免疫細胞の同定など、生物材料を用いたイメージングが進展した。




平成23年度における収支状況の概要

(単位:円)

助成金の受領状況(累計) 合計 経費A 経費B 経費C
①交付決定額 2,520,000,000 2,100,000,000 274,000,000 146,000,000
②既受領額(前年度迄の累計) 974,400,000 856,400,000 78,000,000 40,000,000
③当該年度受領額 614,000,000 513,600,000 65,400,000 35,000,000
④(=①-②-③)未受領額(累計) 931,600,000 730,000,000 130,600,000 71,000,000
⑤既返納額(前年度迄の累計) 0 0 0 0

(単位:円)

当該年度の収支状況 合計 物品費 旅費 謝金・人件費等 その他
経費A ①収入 788,682,379 600,647,042 12,183,062 123,568,384 52,283,891
②執行額 717,134,466 576,603,432 6,129,489 88,870,165 45,531,380
③(=①-②)未執行額 71,547,913 24,043,610 6,053,573 34,698,219 6,752,511
経費B ①収入 88,177,713 3,972,646 6,456,740 64,835,827 12,912,500
②執行額 62,160,332 1,349,367 2,498,240 50,980,758 7,331,967
③(=①-②)未執行額 26,017,381 2,623,279 3,958,500 13,855,069 5,580,533
経費C ①収入 59,041,817                         
②執行額 24,309,723
③(=①-②)未執行額 34,732,094
総収入(経費A+B+Cの①の合計) 935,901,909
総執行額(経費A+B+Cの②の合計) 803,604,521
総未執行額(経費A+B+Cの③の合計) 132,297,388

(単位:円)

当該年度返納額 合計 物品費 旅費 謝金・人件費等 その他
経費Aにおける返納額 0 0 0 0 0
経費Bにおける返納額 0 0 0 0 0
経費Cにおける返納額 0         
総返納額 0

  • ※収入=前年度迄の未執行額+当該年度受領額+当該年度受取利息
  • ※当該年度返納額:前年度の執行状況確認通知書に基づき、日本学術振興会へ返納した金額
  • ※経費A:研究開発事業経費、経費B:研究開発支援システム改革経費、経費C:研究環境改善等経費


平成22年度

平成22年度における研究の実施状況

本プロジェクトの目的は、自然免疫、さらにその獲得免疫制御機構を、システムバイオロジー及びイメージング技術を用いて包括的に解明し制御することである。

本年度においては、審良等は自然免疫による獲得免疫活性化機構の解明を目指し、I型IFN産生を正に制御する分子のTRIM56、感染により発現誘導されるヒストン脱メチル化酵素Jmjd3の役割を明らかにした。

本プロジェクトにおいてイメージング技術の導入は不可欠であるが、蛍光プローブ開発の専門家である菊地(阪大 教授)はβラクタマーゼ変異体を用いた発蛍光型プローブの、生細胞での発現と細胞内タンパク質のラベル化に成功し、MRIのための19Fプローブ開発を行った。また石井(阪大 特任教授)は、多光子顕微鏡を用い、生体組織内での破骨細胞分化を蛍光色調の変化として検出することにほぼ成功した。ラマン顕微鏡の専門家であるSmith(阪大 特任准教授)は、細胞成分のイメージングデータを収集し、生細胞についても含量の多いタンパク質について経時的な分布変化を追うことができるようになった。

また、システムバイオロジーの中井(東大 教授)は遺伝子発現の経時的変化を定量的に把握するために、各種免疫細胞のトランスクリプトームによるプロファイリングを行った。

構造生物学の専門家である稲垣(北大 特任教授)は、LPS刺激により誘起され、IL-6 mRNAを切断する酵素であるZc3h12aの特異的認識機構を研究し、Standley(阪大 特任准教授)とともに、重要な役割を持つstem-loop構造モチーフを発見した。この研究においては竹内(阪大 准教授)の試料を用いて、鈴木(東大 准教授)がZc3h12a標的RNAを解析するなど、異分野の融合研究が成功した。次年度は今年度購入した超高解像度顕微鏡、次世代シークエンサー等の大型機器が稼働し、融合研究もますます進むことが期待される。




平成22年度における収支状況の概要

(単位:円)

助成金の受領状況(累計) 合計 経費A 経費B 経費C
①交付決定額 2,520,000,000 2,100,000,000 274,000,000 146,000,000
②既受領額(前年度迄の累計) 701,880,000 599,480,000 62,400,000 40,000,000
③当該年度受領額 272,520,000 256,920,000 15,600,000 0
④(=①-②-③)未受領額(累計) 1,545,600,000 1,243,600,000 196,000,000 106,000,000
⑤既返納額(前年度迄の累計) 0 0 0 0

(単位:円)

当該年度の収支状況 合計 物品費 旅費 謝金・人件費等 その他
経費A ①収入 856,400,000 744,000,000 6,300,000 71,900,000 34,200,000
②執行額 581,317,621 486,820,958 7,848,938 60,209,616 26,438,109
③(=①-②)未執行額 275,082,379 257,179,042 -1,548,938 11,690,384 7,761,891
経費B ①収入 78,000,000 6,000,000 5,000,000 54,000,000 13,000,000
②執行額 55,222,287 5,024,354 1,175,260 42,981,173 6,041,500
③(=①-②)未執行額 22,777,713 975,646 3,824,740 11,018,827 6,958,500
経費C ①収入 40,000,000
②執行額 15,958,183
③(=①-②)未執行額 24,041,817
 総収入(経費A+B+Cの①の合計) 974,400,000
 総執行額(経費A+B+Cの②の合計) 652,498,091
 総未執行額(経費A+B+Cの③の合計) 321,901,909

(単位:円)

当該年度返納額 合計 物品費 旅費 謝金・人件費等 その他
経費Aにおける返納額 0 0 0 0 0
経費Bにおける返納額 0 0 0 0 0
経費Cにおける返納額 0         
総返納額 0
  • ※収入=前年度迄の未執行額+当該年度受領額+当該年度受取利息
  • ※当該年度返納額:前年度の執行状況確認通知書に基づき、振興会へ返納した金額
  • ※経費A:研究開発事業経費、経費B:研究開発支援システム改革経費、経費C:研究環境改善等経費



平成21年度

平成21年度における研究の実施状況

平成22年3月10日に本研究課題「免疫ダイナミズムの統合的理解と免疫制御法の確立」に関する具体的な助成金額が確定したこと、また、査定の結果、研究チームの再編成を行う必要が生じたことに伴い、各研究グループ間で話し合いを行い、今後の研究計画に関する方針を確認した。審良静男サブグループを中心に、石井優サブグループ、菊地和也サブグループ間で免疫ダイナミクスを明らかにするイメージング手法開発、イメージングプローブ開発の方向性を議論した。また、Nicholas Smithサブグループとの間ではラマン顕微鏡を用いた解析の方向性やその仕様に関し議論した。北海道大学稲垣冬彦サブグループとは構造解析を行う蛋白質に関し話し合いを行い、東京大学中井謙太サブグループの中井教授、鈴木准教授らと免疫応答に関する遺伝子発現解析に関する話し合いを行った。同時に、今後の研究に必要となるプラスミドなどのマテリアル収集を行った。

本研究計画で、自然免疫から獲得免疫活性化に関わる分子メカニズムの研究、免疫ダイナミズムのイメージング解析を行うにあたり、蛋白質の同定に必要な質量分析器、遺伝子発現解析及びエピジェネティクス解析に必要な次世代シークエンサー、非染色免疫細胞内観察を行うラマン分光顕微鏡、免疫細胞間相互作用解析に必要な2光子顕微鏡などの機器が必要となる。そこで、それぞれの機器に関し、必要な仕様に関する議論を行い、その購入に関し仕様策定委員会を立ち上げることとした。




平成21年度における収支状況の概要

(単位:円)

助成金の受領状況(累計) 合計 経費A 経費B 経費C
 ①交付決定額 2,520,000,000 2,100,000,000 274,000,000 146,000,000
 ②既受領額(前年度迄の累計) 0 0 0 0
 ③当該年度受領額 701,880,000 599,480,000 62,400,000 40,000,000
 ④(=①-②-③)未受領額(累計) 1,818,120,000 1,500,520,000 211,600,000 106,000,000

(単位:円)

当該年度の収支状況 合計 物品費 旅費 謝金・人件費等 その他
経費A ①収入 599,480,000 520,800,000 4,410,000 50,330,000 23,940,000
②執行額 0 0 0 0 0
③(=①-②)未執行額 599,480,000 520,800,000 4,410,000 50,330,000 23,940,000
経費B ①収入 62,400,000 4,800,000 4,000,000 43,200,000 10,400,000
②執行額 0 0 0 0 0
③(=①-②)未執行額 62,400,000 4,800,000 4,000,000 43,200,000 10,400,000
経費C ①収入 40,000,000
②執行額 0
③(=①-②)未執行額 40,000,000
 総収入(経費A+B+Cの①の合計) 701,880,000
 総執行額(経費A+B+Cの②の合計) 0
 総未執行額(経費A+B+Cの③の合計) 701,880,000

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